
YouTubeのおかげで、すっかり漫才好きになってしまった。
いや、以前から好きだったのだけど、都合のいい時間に気に入った芸人の気に入ったネタを見られるということが、よりこの世界にのめり込ませたね。
大瀧詠一先生が圧倒的影響を受けたという小林信彦の『日本の喜劇人』とかも読んじゃったもの。これも、すごく面白かった。
そういう形で過去の漫才師の伝説とかに詳しくなってくると、当然、その「伝説の芸人」たちの芸も見たくなってくるわけです。たとえば、クレイジーキャッツの映画見たりとか。エノケンやエンタツ・アチャコを見てみたいんだけど、ソースがないんだよねえ。
そういう流れの中で、「やすし・きよしの漫才独演会」というCDを聞いた。
やすし・きよしはたけしや島田紳助を輩出した80年代初頭の漫才ブームの最大の牽引車だったわけで。

で、面白かったか、と問われると、「うーん」と唸らざるを得ない。ひょっとしたら「笑い」って、音楽や映画より、品質保持期限が短いのかもしれない。もっとも、チャップリンは今見てもちゃんと面白いから、一概には言えないのだろうな。この説はもうすこし研究が必要だろう。
このCDで悲しいのは、やすしが息子の木村一八をネタにしていること(当時、一八は少年だった)。
たぶん、可愛くてしかたなかったんだろう。親バカが透けて見える。同じ人の親としては、この親バカっぷりが身につまされるわけですよ。しかも、当の息子が目下のところ転落人生まっしぐらであることを思うと、泣けてくる。
笑いには涙が含まれていてもいいと思うし、むしろ積極的に含むべきじゃないかとも思うけれど、この記録は残酷だねえ。