2007年3月23日

子どもを使った車爆弾

 イラクで、車に子供を乗せて米兵を油断させ、子供もろとも爆破する「車爆弾テロ」があったらしい。

 子供使った車爆弾テロ 米軍、新戦術と警戒 イラク
http://www2.asahi.com/special/iraq/JJT200703210014.html

 そこまでやるか、とまず思った。子どもを囮に使ってまで貫かねばならぬ正義とは何だ。
 その後、感情の行き先に困った。こういう場合、第三者は怒るべきなのか、嘆くべきなのか。怒るとするなら誰に怒るのか。悪事が行われている、それは事実だ。で、本当に悪い奴はどいつなんだ?
 テレビのアナウンサーなら、一刻も早く平和になって欲しいですね、というだろう。そんなもん何も言ってないのと同じなのだ。

2007年3月22日

きばれよ、笑い飯

 笑い飯のトランジスタラジオくんが来週で終わるらしい。

 私は深夜ラジオを聞く習慣がないので、ラジオ本編の方は聞いたことがないのだが、それとは別に毎週ポッドキャストで配信される放送はいつも楽しみにしていた。

 たぶん終了は本人たちが望んだことではないだろう。昨年のM1でイマイチふるわなかったことが、影を落としているのだろうな。放送の内容も(あくまでポッドキャストだけで判断するしかないが)、だんだん面白味がなくなっていったように思う。
 以前は「世界の国」という、国名を毎週アイウエオ順にあげていって、その国に関してあることないこと好き勝手しゃべる、というネタをやっていて、これはすごく面白かったのだけど、それが終わったあたりから、次第にトーンダウンしたようなイメージがある。baseよしもとに出演しているマイジャー芸人のゲストを呼んで、楽屋オチみたいなネタを話すのは、本人たちは楽しいかもしれないが、リスナーとしては決して楽しいものではなかった。

 彼らの漫才ネタは時事ネタとか一切なくて、老若男女すべてが笑える一般性を持っているのだけど(そのあたり、『エンタの神様』に出演している芸人未満どもとは雲泥の差がある)、ことラジオに関しては、そういう一般性を意識できていなかったのではないか。吉本の若手芸人がカルトな人気を持っていて、そういう人たちばかり注目するお笑いファンもいるのは知っているけれど、そうしたカルト・ファンにしかアピールしない放送内容は、やはり退屈というほかなかった。

 深夜ラジオこそ聞いていなかったけれど、私はきわめて熱心な彼らのファンである。Youtubeにあがったネタは全部ダウンロードして保存してあるし、テレビ出演はこまめにチェックして欠かさず見ている。だが、ここんとこテレビで見る彼らのネタは、今ひとつ精彩に欠けているような気がしてならない。先週放映された『爆笑レッドカーペット』はなかなかふるっていて、久々に溜飲を下げたけれども、正月以降放映された漫才番組でのネタは、「うーん……」なものが多かった。いや、面白いんだけどね、でも笑い飯ならもっとさあ……と感じてしまうような。ひょっとすると、スランプなのではなかろうか、と心配してしまう。

 ダブルボケ/ダブルツッコミという彼らのスタイルの爆発力は、とんでもないものがある。「奈良県立歴史民族博物館」「ワシントン」などのネタは、何度見ても笑える。もう100回ぐらい見てると思うのだが、飽きるということがないのだ。「くだらないこと」「しょうもないこと」にたいする彼らの観察眼の鋭さと、独特のリズム感に笑わされてしまうのだろう。

 バラエティとかイケるタイプでもないし、ここから一皮むけるのはたぶん、苦労するだろう。それは本人たちがいちばん感じているはずだ。切磋琢磨して新ネタをつくり、なんとか突破口を開いて欲しい。それができるだけの力は間違いなくあるんだから。俺はもっと笑い飯をテレビで見たいんだよ。

2007年3月19日

おまえらの方が

 どういうわけか今頃になって、米議会が元従軍慰安婦への謝罪要求決議案を出してきた。これはかの国でけっこう話題になったらしく、雑誌なんかにも大きく取り上げられたらしい。日本政府は対応にてんやわんやである。
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20070308dde007030048000c.html

 たぶん、安倍のタカ派的言動は、アメリカでも警戒されているのだ。早い話が、出そうな釘は出る前に打て、てなもんで、インネンつけて牽制してるわけである。われわれが考える以上に、アメリカ人は日本人を恐れている、ということかもしれない。

 まあ韓国や中国が騒ぐならともかく、アメリカ様がそうおっしゃってるわけだから、安倍は河野談話のとおりでございますとのたまうしかない。忸怩たるものがあるだろうなあ、たぶん。

 強制連行があったか、なかったかについては、正直よくわからない。戦争とは狂気だから、あってもおかしくないとは思う。あったからといって、それがどれほどのもんなんだ、というのが「戦争を知らない世代」である自分の正直な気持ちである。

 くちばしとんがらして従軍慰安婦に謝れとか言ってる奴らの祖先は、新大陸の原住民を殺しまくって絶滅に追い込み、そこに黒人奴隷を山ほど連れてきて強制労働させてた連中じゃん。おまえらの方が鬼畜なんだよ――という首相談話を発表するという選択肢がないのが残念なだけだ。

2007年3月6日

そんな事もある

 ひと月ほど前だが、Amazonのマーケットプレイスで、古い文庫本を買った。
 大好きな作家のエッセイで、20年ほど前に発刊されたもの。
 元値が300円ぐらいで、送料込みで700円ぐらいだったと思う。
 ずっと欲しいと思っていたので、じゅうぶん満足した。

 今日、たまたま出先で古本屋をのぞいたら、同じ本が100円で売っていた。
 今まで、どこの古本屋でも見かけたことなんかなかったのに!

とつぜん思い出した分かれ道

 ふと、思い出した。これまで、一度も回想したことのなかった記憶である。
 
 大学に入学してすぐぐらいの頃だろう、アルバイトの面接に行った。場所は新宿歌舞伎町。寿司屋の出前のバイトだった。求人は、リクルート刊の雑誌に載っていたものと記憶している。時給は、1500円だった。

 当時はバブルまっさかりであったから、ひょっとすると今より学生バイトの給料は高かったのかもしれない。それにしても、時給1500円は破格であった。コンビニの深夜店員が900円台、飲食店が800円台というのが、当時の相場だったように思う。

 結論から言うと、私はそのバイトをやらなかったのだ。理由は覚えていない。求人がいっぱいでもう決まっちゃっていたのか、出前のバイトだから原付免許とかが必要だったのか、それとも面接だけで行くのがイヤになっちゃったのか、まるで覚えていないのだが、やってないことだけはたしかである。

 大学に入りたて、上京して2年目である。1年目は浪人生だったから、バイトなんかしてなかった。世間知らずである。
 歌舞伎町で時給1500円の寿司屋のバイトを、怪しいともなんとも思わなかった。

 じつは、怪しいバイトだなあ、と思ったのは今日、ふと思い出してはじめて思ったのである。いったい、どこに寿司を運ぶ仕事だったのだろう? 会員制の危険な匂いのするクラブだの、オカマがやってるバーだのはまだいい方で、ヤクザの事務所なんかも、当然、配達先に入っていただろう。なんてったって歌舞伎町なのである。

 あのとき、寿司屋の出前をやっていたら、たぶん今とはだいぶちがった人生を送っていただろう。そんな気がする。

 それにしても、なんだって急にこんなことを思い出したんだろう。今まで、思い出したことなんかなかったのに。