2008年3月26日

ある殺人

ホームから落とされ死亡、容疑の18歳逮捕 JR岡山
http://www.asahi.com/national/update/0326/TKY200803260005.html

 犯罪を暴くにはまず動機を洗え。松本清張の社会派推理小説はそれを徹底することでリアリティを獲得していたわけだが、それもすっかりアウト・オブ・デイトになった感がある。洗うべき「動機」なき犯罪が当たり前になってしまった。

 この少年などは、「刑務所に行きたいから」無差別殺人である。被害者の遺族の心中を慮ると胸が痛むが、ここまでいってしまうと天災に近い。

 もっとも、こうした「動機なき」犯罪の背景には、ハッキリ「貧困」が見えている。そこはキッチリ指摘しとかなきゃいけないと思う。自殺者が3万人いることと、動機なき殺人者が続出していることの根は同じなんじゃないか。

 社会が豊かになれば犯罪はなくなる、なんて理想論をぶつつもりはない。だが、減少するのは確かだろう。

2008年3月6日

ネットの書き込みと自警団

「埼玉の小学校の女子を2月29日13時に殺します」

 上記の脅迫文が15日ごろ、ネット上の掲示板(2ちゃんねる)に書き込まれた。「埼玉の小学校」に通う子供を持つ家庭は騒然となった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080228-00000925-san-soci

 29日当日はウチの餓鬼の通う小学校も戒厳令状態となり、登下校の際には大人がつきそい、学校の周囲も、付近の住民が警戒のため終日パトロールをおこなっていた。自然発生的に自警団が結成されたのである。

 私は仕事があるから自警団には加わらなかったけれど、細君によれば、直接、小学校に関わりを持たない方も多数参加されたようである。イザというときに集まってくれる住民を見て、細君は感動したと語っていた。

 3月に入ってから、犯人が判明した。千葉の男子小学生だった。「殺す」ことはおろか、埼玉までひとりで来られないような歳の少年だった。
http://www.asahi.com/national/update/0301/TKY200802290400.html?ref=rss

「殺す」なんて言葉は小学生なら普通に使うだろう。
 千葉在住ということから考えて、なんかで埼玉と千葉はどっちが都会か、とか、どっちがカッコイイか、みたいな話になったのだろう。この二者は東京の近隣の田舎という位置づけが似ているために、大人ですらよく比較をするのである。そこから、「埼玉の小学校」という場所の特定がされたものと思われる。

 たったひとりの小学生のイタズラが、自警団まで結成させてしまう。
 現代ならではの事件であるなあ、などと思った。

 わかったことはふたつ。
 2ちゃんねるの匿名の書き込みも、書いた主は警察が調べりゃすぐわかります。
 ただし、その特定には2週間という時間を要します。もうすこし早くわかってりゃ、自警団結成なんて事態にはならなかったはずなのだ。

 警察も馬鹿じゃないから、今後、捜査のスピードや効率を上げていくだろう。いいことだと思う。

 便所の落書きと揶揄された2ちゃんねるへの書き込みにも、それなりのモラルが求められていくことになるだろう。あんな野放しの場所でさえ、「書いてはいけないこと」ができるというのは、興味ぶかいことであるなあ。