2007年3月6日

とつぜん思い出した分かれ道

 ふと、思い出した。これまで、一度も回想したことのなかった記憶である。
 
 大学に入学してすぐぐらいの頃だろう、アルバイトの面接に行った。場所は新宿歌舞伎町。寿司屋の出前のバイトだった。求人は、リクルート刊の雑誌に載っていたものと記憶している。時給は、1500円だった。

 当時はバブルまっさかりであったから、ひょっとすると今より学生バイトの給料は高かったのかもしれない。それにしても、時給1500円は破格であった。コンビニの深夜店員が900円台、飲食店が800円台というのが、当時の相場だったように思う。

 結論から言うと、私はそのバイトをやらなかったのだ。理由は覚えていない。求人がいっぱいでもう決まっちゃっていたのか、出前のバイトだから原付免許とかが必要だったのか、それとも面接だけで行くのがイヤになっちゃったのか、まるで覚えていないのだが、やってないことだけはたしかである。

 大学に入りたて、上京して2年目である。1年目は浪人生だったから、バイトなんかしてなかった。世間知らずである。
 歌舞伎町で時給1500円の寿司屋のバイトを、怪しいともなんとも思わなかった。

 じつは、怪しいバイトだなあ、と思ったのは今日、ふと思い出してはじめて思ったのである。いったい、どこに寿司を運ぶ仕事だったのだろう? 会員制の危険な匂いのするクラブだの、オカマがやってるバーだのはまだいい方で、ヤクザの事務所なんかも、当然、配達先に入っていただろう。なんてったって歌舞伎町なのである。

 あのとき、寿司屋の出前をやっていたら、たぶん今とはだいぶちがった人生を送っていただろう。そんな気がする。

 それにしても、なんだって急にこんなことを思い出したんだろう。今まで、思い出したことなんかなかったのに。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

オレはバブルの恩恵をひとつも受けなかったのと
軽薄短小の輩が跋扈して生真面目な価値観が影を
ひそめていたがゆえ、バブル期日本を全否定する
ものであります。

んでも「バブルへGO!」は観に行こうか迷ってる。
阿部ちゃんが主演というのも気になってるけど
最近の広末涼子を肯定的にみているというのも
ある。きみは興味ある?「バブルへGO!」。

1TRA さんのコメント...

バブルの恩恵はたしかに受けなかったね。我々が新卒だったころはすでに不景気で、企業採用が劇的に減ってるとか言ってたもんな。その後、さらに酷い状態に突入していくわけだが。
「バブルでGO」に関しては、ホイチョイものだからたぶんそこそこおもしろいのだと思うけど、正直興味ないっす。まんぞう君と同じで俺、「バブル的なるもの」って好きじゃないし。