2006年11月29日

最良のイジメ対処法は報復?

 呉智英がイジメについて書いたコラムを読んだ。

【コラム・断】イジメで自殺するくらいなら
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/books/breview/29130/

 呉智英、いいよなあ。
 やられたらやりかえせ。「唯一最良のイジメ対処法は報復」とはそういうことである。呉智英のすごいところは、良識派がこぞって批判しそうなこういう理屈を、確固とした裏づけのもとに提示できるところだ。反論できるなら反論してみやがれ、という強さがある。
 文の冒頭から「識者と称する恥知らず」の「おためごかしの助言は役に立たない」と語られているとおり、仮想敵はハナっからこいつらである。いじめられっ子に助言を与えると見せて、実際は「恥知らず」たちを攻撃しているのだ。
 かりに「恥知らず」たちがこの言説に否定的な意見を述べれば、呉智英は万の言葉をもってやり返すことができるだろう。この文章は短いけれど、そういう凄みも伝わってくる。いいねえ、呉智英。

 とはいえこの文章、じつは「いじめられて自殺を選ぶような人間に報復なんざできやしない」という肝心なところから目をそむけている。報復できないからこそ自殺するのである。呉智英なら、ショーペンハウアーの自殺論ぐらい知っているだろう。人は生きる苦痛が死の恐怖にまさったとき自殺する。報復とは「生きる苦痛」を自力で排除することだ。それができるバイタリティのある人間は、自殺という手段を選択することはないのではないか。
 もっとも、それを言い出すと一切の「助言」は意味をなさなくなってしまうから、これはこれでいいのだろう。「報復せよ!」の助言で救われる子も、たぶん、いるはずだしね。

 なお、この文章を知ったのは、友人のブログからだ。なんでも2ちゃんねるで話題になってるとか。


4 件のコメント:

まんぞう さんのコメント...

呉先生はいじめの問題にコメントしたいんじゃなく、
例によっていつもの近代人権思想批判がしたいだけw
なんか強引に自分の土俵にムリヤリ話をもってって
いるのがオカシくってw

で、最後に少年法の話で締めて持論に重層的な意味
付けをしてる。当然人権派を当惑させる意図。
2chの連中はそこんとこ分かんないから文字通り
受けとってしまっており、歯がゆかった。

1TRA さんのコメント...

まあ、呉智英の芸風を知ってる人のほうがすくないわけで、文字どおり受け取るのが普通の反応だと思うが。
一応、ちゃんと自殺志願者を勇気づける内容にもなってるじゃない。
「報復せよ!」は「生きろ!」と同義だし、目的がハッキリしてるぶん後者より説得力があるよ。その点も好感が持てるよね。

匿名 さんのコメント...

以前"BB"を名乗っていた者です。

>>呉先生はいじめの問題にコメントしたいんじゃなく、
例によっていつもの近代人権思想批判がしたいだけ

呉智英は学生時代に『封建主義、その論理と情熱』とか『バカにつける薬』なんかでかなり熱愛(?)してましたけど、『サルの正義』あたりから、だんだん同じことしか書いてないように思えてきて、次第に読まなくなりました。

いじめに関する文章は読んでませんけど、10年前ぐらいと変わってなさそうですねえ、悪い意味で。

私にとって呉智英はハシカのような存在で、人があれこれ書いているのを読むと、もういいよ、という気分になるのです。

以上、いじめの話と関係なくて申し訳ありません。

1TRA さんのコメント...

Niphoneseさん、コメントありがとうございます。

私はそれほど呉信者ではありませんでしたが、Niphoneseさんがあげられた三冊は読んでいます。他にも、タイトルは失念しましたが、マンガ論や読書術に関する本も読んだ記憶があります。

学生時代に「熱愛(?)」していた方が、「もういいよ」となるのは、一種の近親憎悪みたいなものでしょうか。なんとなくお気持ちはわかります。

それほど好きだった呉智英からなぜ離れ、なぜ読まなくなったのか。私はそこに興味を感じました。そこにはたぶん、「呉智英批判」があるはずだから。そんな論を読んでみたいと思いました。